最近ニュースの見方を習ったので、備忘の意味も込めてそれを記しておく。
まず何においても重要なのが以下の原則である。
・発信者の立場を知る
これを知らないとニュースを意図を読み解く事はできないし、逆に知ってさえいれば大体の意図は分かるだろう。
本日は以下のようなニュースがホットになっていた。
この法律が日本を「生産性が低すぎる国」にした - アトキンソン「中小企業基本法が諸悪の根源」ー
では、習った方法に沿ってこのニュースを見ていく。
手順は以下の通りである。
1.発信者の立場を知る
2.事実と事実っぽいもののを区別する
3.上記のを把握した上で発信者の意図を考える
1.発信者の立場を知る
このニュースの発信者は東洋経済新報社が媒体でコラム執筆はデービット・アトキンソン氏である。
デービット氏の経歴は記事で紹介されているように、ゴールドマンサックス出身者、要するに「金融屋」である。
この段階で、なんとなく記事の方向性の予想がつくが一応進めてみよう。
2.事実と事実っぽいもののを区別する
このニュースはタイトルから推察すると、「ある法律が日本の生産性をダメにしていて、その解決方法を述べる」という方向性が予想される。
事実と事実っぽいものは以下の通りである。
【事実】
「日本の生産性が一向に上がらず」
「20年も経済成長が滞っているという事実」
「日本では、女性活躍が諸外国と比較して際立って進んでいないという、これまた動かしがたい事実」
【事実っぽいもの(デービット氏の感想や要検証な部分)】
「デフレからも脱却できないという厳しい現実に対して、これは日本人に働き方に問題があるからだと主張する方たちが多くいらっしゃいます。」
「私の主張はまったく違います。今は10軒のラーメン店の裏に10社の企業があるので、10軒のラーメン店をそのままにして、それを所有している企業を2、3社にまとめようということです。」
「日本人はすばらしい能力をもっているのに、働き方が悪いのでその実力が引き出されていない。だから働き方を変えれば景気もよくなっていく、というのが彼らの主張です。」
「経済分析の世界では、これは「願望」というか、まったくの見当外れな分析だと言わざるをえません。」
「これだけ大きな国の経済が「働き方」程度の問題によって、20年も停滞することなどありえないからです。」
「これまで30年にわたって、日本経済を分析してきた私がたどり着いた結論は、「非効率な産業構造」です。」
「高度経済成長期から引きずっている時代錯誤な産業政策、非効率なシステム、科学的ではない考え方などが日本の生産性を著しく低下させているのです。」
「政治家、エコノミスト、財界のリーダーたちの大多数は経済低迷の要因を、「産業構造」に結びつけず、ひたすら「労働者」へと押し付けています。」
「1つには、日本では「徹底的な要因分析」をしないという事情があります。この30年、多くの日本人と議論を交わして気づいたのは、経済の専門家を名乗る人たちでさえ、起きている現象についての知識はすごいものの、その原因を徹底的に追求することはほとんどありません。」
「生産性の高い先進国では女性活躍が進んでいるという事実」
「海外の要因分析では、女性が活躍できていない国は、労働人口の中で、規模が小さくて経済合理性の低い企業で働く労働者の比率が高いという傾向があることがわかっています。」
「つまり、~~ その国の産業構造によって決まるというのが世界の常識なのです。」
「国民性うんぬん、労働文化うんぬんというのは、科学的な分析から目を背けて、自分たちの都合のいい結論へと誘導していく、卑劣な論法だと言わざるをえません。」
(多いのでこの辺で割愛)
筆者の論理力がないだけかもしれないが、明確に事実だと言える部分があまりに少なかった。
この文章は筆者から見るとあまりに脆弱な論理構造で進んでいる印象を受ける。
それに海外との比較が多い。
おそらくではあるが、東洋経済を見ている層は「ある程度意識も高くて論理力もある(と自分で思っている)サラリーマン」だと思う。
であれば、自分の中である程度補完して(論理的な文章でなくても、「この文章は(ゴールドマンサックス出身の人が書いているし)きっと論理的な文章なんだ!俺は理解できている!」と自分を騙して)読むという事を前提に書いている気がしてならない。
基本構造は、セレブに憧れる層にグッチやプラダが商品を売り込む手法と似ている。
そして、筆者が一番気になったのは、このデービット氏が「逆張り野郎」という点である。
正論を言い続けて10のうち8当たるよりは、逆張りで目立った意見を10いってそのうちの2あたった方が目立つし、デービット氏の仕事は自分の意見が目立ってなんぼのものだからである。
少々脱線したが、このニュースの全体構造は「デービット氏の感想文」であり、「中小企業基本法が日本の生産性をだめにしたかどうかは議論の余地が大いにある」というのが、この記事を見ての筆者の感想である。
また、最初の方に予想した「ある法律が日本の生産性をダメにしていて、その解決方法を述べる」という点について、解決方法は載っておらず、デービット氏の本の紹介がなされていた。
以上からこの記事は要するに広告であり、「日本の生産性が良くない理由を知りたかったら俺の本を買え!」という事である。
ゴールドマンサックス出身のアナリストであれば、何を言っても本当っぽく聞こえるので、危うく、騙されそうになったが、これで見抜く事が出来た。
とにかく、この記事を通して伝えたかったのは、ニュースを読む際には、
・発信者の立場を知る
という原則である。
参考になれば幸いです。
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